第6章 夏歌

〔135〕

无题

佚名[155]

屋前藤花开池畔

紫浪不意招杜鹃

声声唱不倦

[原文]

わが屋戸の池の藤波咲きにけり山郭公いつか来鳴かむ

〔136〕

阴历四月赏樱而歌

纪利贞[156]

春尽群芳歇

唯有此花开未谢

独享咏赞歌

[原文]

あはれてふ言をあまたにやらじとや春におくれてひとり咲くらむ

〔137〕

无题

佚名

杜鹃何不振翅歌

旧音又如何

何必苦苦待五月

[原文]

五月まつ山郭公うちはぶき今も鳴かなむ去年のふるこゑ[157]

〔138〕

伊势

待到五月里

杜鹃鸣声亦无奇

何不早日啼

[原文]

五月来ば鳴きもふりなむ郭公まだしきほどの声を聞かばや

〔139〕

佚名

待到五月来

橘花吐芬芳

疑是昔人衣袖香

[原文]

五月まつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする

〔140〕

恍恍惚惚间

再度聆听山杜鹃

五月来眼前

[原文]

いつのまに五月来ぬらむあしひきの山郭公今ぞなくなる

〔141〕

朝闻啼杜鹃

飞来飞去岂不烦

请栖我家橘花间

[原文]

けさ来鳴きいまだ旅なる郭公花橘に宿はからなむ

〔142〕

过音羽山[158]闻杜鹃而歌

纪友则

朝过音羽山

遥闻山间有杜鹃

啼鸣高树巅

[原文]

音羽山けさこえくれば郭公こずゑはるかに今ぞなくなる

〔143〕

闻杜鹃初啼而歌

素性法师

初闻杜宇啭

蓦然怀人起幽怨

春情乱难遣

[原文]

郭公はつこゑ聞けばあぢきなく主さだまらぬ恋せらるはた

〔144〕

奈良石上寺[159]闻杜鹃而歌

又闻杜鹃鸣

新声似旧声

古都却无旧时影

[原文]

いそのかみふるき都の時鳥声ばかりこそ昔なりけれ[160]

〔145〕

无题

佚名

夏山杜鹃吟

若知我黯然伤神

请勿啼泣乱我心

[原文]

夏山に鳴く郭公心あらば物思ふ我に声な聞かせそ

〔146〕

闻得子规啼

声声似诉久别离

也解思故里

[原文]

郭公鳴く声きけば別れにし故里さへぞ恋しかりける

〔147〕

杜鹃太花心

处处穿飞处处吟

令我爱且恨

[原文]

時鳥汝が鳴く里のあまたあればなほうとまれぬ思ふものから[161]

〔148〕

相思情难绝

杜鹃啼鸣多凄恻

声声皆泣血

[原文]

思ひいづるときはの山の時鳥韓紅のふりいでてぞ鳴く[162]

〔149〕

无泪空啼悲

愿借愁心与子规

免我两袖泪

[原文]

声はして涙は見えぬ郭公わが衣手のひつをからなむ

〔150〕

盘旋啼山间

声声长鸣诉哀怨

悲情谁能胜杜鹃

[原文]

あしひきの山郭公をりはへて誰かまさると音をのみぞ鳴く

〔151〕

且留我庭院

莫要回山间

惟愿时时听杜鹃

[原文]

いまさらに山へ帰るな時鳥声の限りはわが屋戸になけ

〔152〕

三国町[163]

杜鹃且慢飞

请向友人带口信:

我也想归隐

[原文]

やよや待て山郭公ことつてむ我世の中にすみわびぬとよ

〔153〕

宽平帝时后宫歌会时作

纪友则

梅雨催愁绪

夜空鸣杜宇

茫然不知何处去

[原文]

五月雨に物思ひをれば時鳥夜深く鳴きていづち行くらむ

〔154〕

杜鹃绕我屋

可是夜深易迷途?

声声悲失路

[原文]

夜や暗き道やまどへる時鳥わが宿をしも過ぎがてに鳴く

〔155〕

大江千里

庭前橘花正喜人

杜鹃何故不光临

无缘听长吟

[原文]

やどりせし花橘もかれなくになど郭公声たえぬらむ

〔156〕

纪贯之

夏夜甫卧眠

杜鹃一声惊缱绻

东方欲晓天

[原文]

夏の夜の臥すかとすれば郭公鳴くひと声にあくるしののめ[164]

〔157〕

壬生忠岑

仲夏苦夜短

才见日暮又晓天

杜鹃也愁叹

[原文]

暮るるかと見れば明けぬる夏の夜をあかずとや鳴く山郭公

〔158〕

纪秋岑[165]

杜鹃一声声

呼唤山中修行僧

传我相思情

[原文]

夏山に恋しき人やいりにけむ声ふりたててなく郭公[166]

〔159〕

无题

佚名

夏至鸣杜鹃

莫非旧鸟又飞还

音声如昨年

[原文]

去年の夏鳴きふるしてし時鳥それかあらぬか声のかはらぬ

〔160〕

闻杜鹃歌

纪贯之

五月雨潺潺

杜鹃终夜啼不断

声声诉愁怨

[原文]

五月雨の空もとどろに郭公なにを憂しとか夜ただなくらむ

〔161〕

殿上饮御赐酒时奉命作“待杜鹃歌”

凡河内躬恒

宫中不闻杜鹃声

山中若有杜鹃鸣

引得山神[167]应

[原文]

郭公声もきこえず山彦は外に鳴く音をこたへやはせぬ

〔162〕

山间闻杜宇

纪贯之

杜鹃鸣松山

声声悲啼唤人还

闻声添思恋

[原文]

時鳥人待つ山に鳴くなれば我うちつけに恋ひまさりけり

〔163〕

旧居闻杜鹃

壬生忠岑

此别已久矣

杜鹃也解恋故里

飞回声声啼

[原文]

昔へや今も恋しき郭公故里にしも鳴きて来つらむ

〔164〕

闻杜鹃啼

凡河内躬恒

杜宇虽非我

也解俗世多苦厄

绕篱啼不绝

[原文]

ほととぎす我とはなしに卯の花の憂き世の中になきわたるらむ

〔165〕

赏莲上露

僧正遍昭

莲叶出淤泥

纤尘不染亭亭立

露珠胜玉滴

[原文]

蓮葉の濁りにしまぬ心もてなにかは露を玉とあざむく

〔166〕

拂晓感月抒怀

清原深养父

夏夜何其短

才觉日暮又晓天

明月匆匆藏云间

[原文]

夏の夜はまだよひながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ

〔167〕

邻人来乞常夏花[168],主人惜花情甚,故作歌赠答

凡河内躬恒

寝床不染尘

惜花如惜共衾人

怎可赠予君

[原文]

塵をだにすゑじとぞ思ふ咲きしより妹とわが寝るとこ夏の花

〔168〕

六月末

凡河内躬恒

秋来夏阑珊

空中寒暑两错肩

凉风吹半边

[原文]

夏と秋と行きかふ空のかよひぢはかたへすずしき風や吹くらむ