靴のこころ

ふと振り向いたら

脱ぎ捨てたスニーカーが

たたきの上で私をみつめていた

くたびれて埃まみれで

あきらめきった表情だが

悪意はひとつも感じられない

靴にもこころがある

自分にもこころがあるからそれが分かる

靴は何も言わないが

何年も私にはかれて

街を歩き道に迷い時にけつまずいた

もう身内同然だ

新しい靴がほしいのだが——